トリクルダウンの嘘、景気対策のために政府がとるべき政策は?

トリクルダウン 政治経済

トリクルダウン理論とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)」とする経済理論のことです。(wikipediaより)

富裕層への減税などが行われる際に、反対意見を抑えるための理屈として使われることが多い理論です。しかしながら、現在では、トリクルダウン理論の有効性には否定的な見解がほとんどであり、私も否定的です。もっとよい理論を自分なりに考えてみました。

富裕層と貧困層の間のお金の流れを考える

トリクルダウンのイメージ図

トリクルダウンを図示すると下の図のようになります。富裕層にお金(=赤い液体)が入ってくると、それが中間層に滴り落ち、中間層から貧困層にさらに滴り落ちるというシャンパンタワーのイメージです。

トリクルダウン

この図には間違いがあります。富裕層が富裕層でいられる理由は、収入が支出よりも多いからです。グラスに入ってきた液体を収入とすると、富裕層の支出は収入よりも少ないため滴り落ちる量は少ないのです。富裕層のグラスからこぼれる液体は少なく、それ以上にグラスの大きさがどんどん大きくなり蓄えられていくのです。また、富裕層に比べて貧困層の数は多く、上からこぼれてくる少ない液体を多くの人数で分け合う必要があります。つまり上から下への液体の流れは少なく、富裕層のグラスは大きくなり貧困層のグラスの中は空っぽのままです。

実際に起こることのイメージ図

支出より収入が多いのが富裕層だとすると、逆に収入より支出が多いのが貧困層です。貧困層はお金が貯まらないから貧困なのです。つまり、実際には、富裕層から貧困層へのお金の流れは少なく。貧困層や中間層から富裕層へとお金が流れていきます。少ないながらも貧困層に入るお金は、富裕層へと吸い上げられていくのです。富裕層は液体をくみ上げる強力なポンプを持っており、貧困層には液体をとどめておく力はありません。少ない人数の富裕層が多くの貧困層・中間層からドンドン汲み上げているのです。

汲み上げ

実際に起こることは、トリクルダウン(trickle-down:滴り落ちる)ではなく、汲み上げ(siphon-over)です。これを汲み上げ理論(siphon-over-theory)と名付けてみました。

景気対策のために政府がとるべき有効な政策は?

好景気とは、お金の循環が良くなることです。したがって景気対策するためには、世の中のお金の流れを良くする必要があります。

汲み上げ理論によると、液体は貧困層・中間層から富裕層へと下から上へ流れます。そうであるなら、政府が液体を注ぐべきは、富裕層のグラスではなく、貧困層・中間層のグラスです。貧困層・中間層のグラスに注がれた液体は、汲み上げにより、富裕層へと流れていきます。結局は富裕層のグラスに溜まるのだから、循環を考えると貧困層・中間層のグラスからはじめるべきなのです。いきなり富裕層のグラスに注いでも、あまり循環しません。

ということで、景気対策のために政府がとるべき有効な政策は、富裕層への減税ではなく、貧困層・中間層へのバラマキです。商品券やバウチャーの配布、思い切った現金給付などがよいでしょう。消費減税もよいかもしれません。ばらまいたお金は富裕層に集まっていきます。集まったお金は課税により回収します。そしてまたバラマくのです。

課税の仕方にも工夫する必要があります。私は、消費や所得への課税を強化することには反対です。消費税は消費に課税するもので、消費税の増税は消費に係るお金の流れを停滞させます。所得税も個人の所得に係る税金でありお金の流れに課税するものです。

お金の流れでなく、お金の停滞に課税すべきです。個人の持つ資産を把握し、資産への課税を行うべきです。とりわけ一部の富裕層にはお金が集中する傾向があるので、膨れ上がった資産には課税する必要があります。日本の富裕層ランキング1位は、ユニクロで知られるファーストリテイリング会長の柳井氏で、保有する資産の評価額は何と1兆円を越えています。個人で1兆円の資産など使いきれるわけがありません。例えば、毎年資産の1%を税金として納めてもらったとしても、死ぬまで富豪であることには変わりないでしょう。

毎年1%ずつ資産が減っていくのが我慢できない富豪は、リスクをとって毎年1%以上のリターンを目指す必要があります。これにより富裕層の保有する資金がリスクマネーに向かうことが期待されます。

土地や骨董品など資産は現金化が難しいため資産課税への納税ができないと主張する向きもあるでしょう。課税により資産を現金化するための取引が促されることは、資金の循環につながります。特に、空き家や遊休資産、活用されていない土地などを現金化する動きがでてくれば、眠っていた資産の活用が促されて、お金が循環します。

このように資産への課税は、適切に行えば、資金循環を活発化する可能性があるのです。

まとめ

トリクルダウン理論の間違いについて書いた上で、もっと良い理論として、汲み上げ理論を提案しました。景気対策のために有効な政策として、貧困層・中間層へのバラマキと富裕層への資産課税を提案しました。汲み上げ理論、割りとイケてる理論だと思うのですが。。。誰か採用してくれないかなぁ。

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