検察支持?推定無罪?ゴーン氏逮捕、各社の報道内容を調べてみた

社会問題

背景・目的

ゴーン氏逮捕から2週間経った。ゴーン氏の不正を指摘する報道や、検察の問題点を指摘する報道など様々な情報が飛び交っている。

筆者は、普段から日本の人質司法には問題を感じている。
具体的には、
①逮捕後の長期勾留(起訴前に最長20日間、起訴後は最長で判決が下るまで)
②その間の過酷な取り調べによる自白の強制
③強制された自白の証拠採用による有罪認定
が問題だと感じている。

ゴーン氏もまさにこのような流れの中に身を置いているように見える。上記のプロセスはどうみても問題があるのだが、日本ではなぜかそれが容認されている。一つの要因として、検察からのリークを基にした報道が挙げられる。リーク報道を事実のように報道することで、被疑者が悪人として印象づけられてしまう。これにより、逮捕された時点で被疑者が犯罪者だと思い込む人も多いだろう。悪人がどのような扱いを受けても擁護する人は少ないのだろう。このような人質司法が一般に大きく問題視されることは少なく、問題が容認されているように思う。

今回、検察寄りの報道が実際に行われているのかを検証する目的で、各社の報道内容をまとめて比較してみた。調査方法は、Google検索でニュースタブを選択し「ゴーン」と検索するだけだ(2018/12/4/0:00時点)。内容を読んで検察リークを真実かのように報道する記事を検察支持、推定無罪を守る報道を推定無罪支持、その他の報道を中立、として、三つに分類してみた。ゴーン氏の呼称も併せて比較した。

Google検索上位のゴーン氏逮捕の関連記事

記事見出しと分類

日産ゴーン会長逮捕、なぜ今だったのか?
BLOGOS
田原総一朗
検察支持。「ゴーンさん」と記載。

ゴーン氏不在の日産自、米販売減少がニューノーマルとなる可能性も
ブルームバーグ
Keith Naughton、Gabrielle Coppola、John Lippert
中立。「ゴーン容疑者」と記載。

したたかなルノーの象徴渦中の人、カルロス・ゴーン氏を語る
webCG
山口京一
推定無罪支持。「ゴーン氏」と記載。

ゴーン氏「退任後報酬による起訴」で日産経営陣が陥る“無間地獄”
ヤフーニュース
郷原信郎 | 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
推定無罪支持。「ゴーン氏」と記載。

日産ゴーン逮捕、東京地検特捜部に世界中から批判…異分子排除の「宗教裁判」
Business Journal
筈井利人/経済ジャーナリスト
推定無罪支持。「ゴーン氏」と記載。

強烈な被害者意識と自尊心 ゴーンが見せていた危うい兆候
Newsweekjapan
サム・ポトリッキオ
検察支持。「ゴーン」と記載。

日産新車販売8カ月連続増 ゴーン・ショックで失速懸念も
産経ニュース
中立。「ゴーン容疑者」と記載。

ゴーン元日産会長不在、崩れる仏大統領の思惑
日本経済新聞
中立。「ゴーン容疑者」と記載。

セレブ生活から一転、勾留延長のゴーン容疑者「拘置所は寒い」とも
Response
福田俊之
中立。「ゴーン容疑者」と記載。

ゴーン事件で東京地検のプレゼン力を憂う
BLOGOS
篠田 英朗
推定無罪支持。「ゴーン氏」と記載。

【新聞に喝!】ネット時代のゴーン報道
産経新聞
簑原俊洋/神戸大学教授
検察支持。「ゴーン容疑者」と記載。

仏政府、日本と進める次世代原子炉開発凍結宣言はカルロス・ゴーン
日刊ゲンダイ
中立。「ゴーン」と記載。

日産「ゴーン追い落とし」の裏に経産省の影
JBpress
大西 康之
中立。「ゴーン氏」と記載。

検察の「組織の論理」からするとゴーン氏不起訴はあり得ない
ヤフーニュース
郷原信郎 | 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
推定無罪支持。「ゴーン氏」と記載。

ゴーン前会長徹底抗戦へ 日産経営陣に逆襲も? 日仏首脳がさや当て
アエラドット 朝日新聞出版
浅井秀樹、多田敏
中立。「ゴーン前会長」と記載。

ゴーン前会長「絶頂期」の経営手腕 記者が見た柔軟さ
朝日新聞
内藤尚志
中立。「ゴーン容疑者」と記載。

ゴーン前会長逮捕「影響なし」 日産・三菱の米幹部強調
朝日新聞
江渕崇
中立。「ゴーン容疑者」と記載。

レバノン大使、ゴーン氏は「すべて無実」 拘置所で接見
Yahoo!ニュース
朝日新聞社
中立。「ゴーン容疑者」と記載。

まとめ

検索上位18記事の分類結果は

検察支持:3本
推定無罪支持:5本
中立:10本

意外にも推定無罪支持が多い、検察支持は少数派だった。

呼称については、

ゴーン容疑者:8本
ゴーン氏:6本
ゴーン:2本
ゴーン前会長:1本
ゴーンさん:1本

「ゴーン容疑者」が多数派だったが、容疑者と記載しない記事も半数以上あった。

ウェブメディアでは、必ずしも検察によるリーク報道が多数派ではなかった。検察に批判的な郷原弁護士の記事が上位に2本入っていたのも印象的であった。

主要新聞社のゴーン氏逮捕の関連記事

記事見出しと分類

次に、主要新聞社のウェブサイトにアクセスし、ゴーン氏関連の上位記事で同様の分類を行った。

読売新聞(YOMIURI ONLINE)
ゴーン容疑者報酬24億円、日産役員総額超過か(12/11リンク切れ)
検察支持。「ゴーン容疑者」と記載。

朝日新聞(朝日新聞デジタル)
ゴーン前会長に住宅提供「子会社が不透明」 監査が指摘
検察支持。「ゴーン容疑者」と記載。

毎日新聞(デジタル毎日)
ゴーン容疑者側、未払い報酬「退任後支払い」記載(12/22リンク切れ)
検察支持。「ゴーン容疑者」と記載。

日本経済新聞(日本経済新聞電子版)
ゴーン元会長「高額報酬、労働者よく思わず」
検察支持。「ゴーン容疑者」と記載。

産経新聞(The SANKEI news)
ゴーン容疑者の報酬覚書、最側近幹部が個人で保管
検察支持。「ゴーン容疑者」と記載。

まとめ

主要新聞5社の全てにおいて、検察リーク報道を事実かのように報道する記事がみられた。これらの記事中のゴーン氏の呼称は全て「容疑者」と記載されていた。

全体のまとめ

今回、検察寄りの報道が実際に行われているのかを検証する目的で、各社の報道内容をまとめて比較してみた。結果として、主要新聞社のウェブサイトからは、検察寄りのリーク記事の存在が確認できた。一方で、Google検索による上位記事では、検察寄りの報道は少数で、推定無罪支持の報道が多数であった。インターネットメディアの台頭により、既存の大手メディアの存在感や影響力が減少する中で、検察寄りのリーク記事の影響力が減少しているものと思われる。

ゴーン氏逮捕の今後の展開次第では、外国メディアも巻き込んで問題認識が広まる可能性もある。人質司法の問題が広く大衆に認知され改善されるのもそう遠くないかもしれない、と淡い期待が持てる結果だった。

コメント