天然ダイヤと見分けがつかない!?合成ダイヤモンドの価値と将来について考える

ダイヤモンド その他

合成ダイヤモンドの技術レベルが向上し、天然ダイヤモンドと区別がつかなくなってきた。というようなニュースを最近よく見かけるようになってきました。合成ダイヤが天然ダイヤと見分けがつかなくなるとどうなるのか考えてみました。

ダイヤモンドの価値とは?

はじめにダイヤモンドになぜ価値があるのかを考えてみました。三つあると思っています。一つ目は見た目の美しさです。キラキラと輝くダイヤモンド、あの輝きは他のものには見出せません。二つ目は希少性です。珍しく手に入りにくいことが価値を生んでいます。三つ目は「皆が価値があると思っている」ことが価値を生んでいるということです。ややわかりにくいですが、高値で売れることが期待できるから価値があるということです。

見た目の美しさ

一つ目の見た目の美しさに関しては、ダイヤモンドの価値基準である「4C」有名です。4Cとは、カラット・クラリティ・カラー・カットの4つの頭文字です。

カラットは重さ、クラリティは透明度、カラーは色、カットは切り口を表します。重さは重いほど(≒大きさが大きいほど)、透明度は透明なほど、色は無色なほど、カットは理想のプロポーションに近いほど価値があります。4Cについては、専門の鑑定機関が鑑定書を発行しています。

希少性

天然ダイヤモンドの年間の採掘量(生産量)について調べてみると、2015年の統計で年間25.4トン、その内宝石品質のものが0.5トンということでした。宝石品質以外のものは、工業用途で使われています。年間で0.5トンということで決して少なくないように思いますが、金の年間採掘量が約3000トン(2017年)ですので、それに比べるとかなり少ない採掘量です。これに加えて、デビアス社という英国ロンドンに本社を置く会社が、市場を独占しており供給量を制限しているようです。

皆が価値があると思っているという価値

ダイヤモンドには価値があるということに関しては、上述のデビアス社のマーケティングの効果が大きいようです。「ダイヤモンドは永遠の輝き」「給料の3か月分の婚約指輪」といったキャッチコピーや概念は、デビアス社が広めたものです。このような宣伝効果によってダイヤモンドには価値があると皆が考えることによって、ダイヤモンドの価値が維持されているようです。

合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドの違いとは?

合成ダイヤモンドも天然ダイヤモンドも同じ炭素の塊です。合成ダイヤがラボで短時間(1~2週間)で合成できるのに対して、天然モノは地中で長い年月(数億年から数十億年ともいわれています)をかけて生成します。今では、合成ダイヤモンドを天然モノと見分けるのが非常に困難なレベルまで技術が進んでいるようです。

参考:ほとんどの鑑定士が中国の偽ダイヤを見抜けなくなった…危機を感じたデビアス社、ダイヤモンドの大学を創設する

合成ダイヤモンドの進歩でダイヤモンドの価値はどうなる?

合成ダイヤモンドが普及しても「見た目の美しさ」という価値は変わりません。むしろ今までにない大きさのものや、新たなカットが提案されることで「見た目の美しさ」は向上する可能性もあります。「皆が価値があると思っているという価値」についても、ある程度維持できるかもしれません。結婚指輪や婚約指輪にダイヤモンドを使用する習慣も維持される可能性は高いでしょう。一方で、ダイヤモンドの「希少性」の価値は失われます。

結論を言うと、ダイヤモンドの価値はある程度維持できても、価格は大きく下がると考えています。どのくらい下がるかというと、庶民が簡単に手にできるほどには下がると思います。大きなダイヤが数千円くらいになるイメージです。理由は簡単で、供給量が制限できないからです。合成技術はどんどん進歩して、いずれ大量合成できるのは間違いないでしょう。合成コストもどんどん下がります。例えば、カーボンナノチューブを例にとると大量合成法が確立され、量産化することで価格はどんどん下がっています。

出典:苦節20年超のカーボン・ナノチューブに「春」が来た!? – 技術経営 – 日経テクノロジーオンライン

量産が進み始めたことで、やはり大きな課題だった価格も大幅に下がりつつあります。2005年前後での価格は、1gが10万円超という高さで、しかも不純物だらけでした。これでは研究室でいくら有望な結果を得られても、産業用途には使えません。しかし、最近は特にMWNTの量産が進んでおり、年産400tという規模で製造するベルギーNanocyl社のようなメーカーも出てきています。この結果、MWNTの価格は1kg当たり1万円前後、つまり2005年時点の1万分の1に下がってきました。

数千円で販売して利益がでるなら、その値段で売る業者も出てくるでしょう。合成ダイヤと天然モノを明確に区別するデビアス社のマーケティングが上手くいけば、案外長く持つかもしれません。それでも、合成ダイヤと天然モノで、モノとしての違いがはっきりしない場合には、価格差を正当化するのは難しいと思います。長い目で見れば、いずれ価格が崩壊するのは間違いないと思います。

既にダイヤを持っている人は、高値を維持したいでしょうけど、まだダイヤを持っていない人は安く買いたいはずです。世界には、ダイヤを持っていない人の方が圧倒的に多いでしょうから。

繰り返しになりますが、価格が下がってもダイヤモンドの価値がなくなるわけではありません。希少なマイタケが人工栽培できるようになって値段が下がったのと似ています。値段が下がっても、マイタケが美味しいことには変わりがないのです。合成ダイヤであっても、ダイヤモンドの永遠の輝きは変わらないのです。

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